なにがまずいといって、今年の前半期がそろそろ終わりに近づいてきていることである。気づけばあと一ヶ月ちょっとしか残っていない。漫然とすごしてゆくには人生はあまりに短すぎる。
 といって、なにか壮大な野心を抱いているわけでも、喫緊の課題に追われているわけでもないのである。そうであればもっと悠然と構えていてもよさそうなものだが、どういうわけか漠然とした焦燥感が終始つきまとって離れないのだ。何時ごろからこんなことになったのだろう。5〜6年ほど前からか。いまその不定形な情動にあえて言葉を与えるとしたら、ゴーギャンのあの問い、「われわれはどこから来たのか〜」というやつになるだろう。こういったことはそもそも答えることなどできないものだが、かといって一蹴したところで解消されるわけでもないのである。
 Yの言うように旅行することで気分が一新するかもしれない。文学や哲学に沈潜するのもひとつの手かもしれないし、難しいことはとりあえずエロDVDを観たあとにして、というのも実践的な対処法であるかもしれない。だが一番目のは金銭的にも都合の上でもとうてい実現は難しく、二番目は体系的な読書量の欠如と体質的な怠慢さがネックであるし、三番目にいたってはもはや飽きがきている。
 こうなったら不貞寝する以外仕様がないが、こんなときにかぎって目が冴えて、これではとても寝付けそうにないのである。運動でもしてみては? 運動は嫌いだ。これまでに人類が生み出したさまざまな発明は、その多くが身体的な運動量を減らせるために要請されたものなのだ。ぼくはそういった人類の意志と発明家の頭脳を信じている。



 今朝みた夢。Sに誘われてもう一人の男(この男の存在は謎で、もしかしたら実際は登場していなかったかもしれない。だが三人で行動していたという印象がのこっていることに間違いはない)と素人参加型のバラエティー番組のオーディションを受けにいく。これに応募したのは、(どういう事情があるのかは定かではないが)どうも性的な下心があったからのようである。一次審査は集団面接で、面接も終わりあとは退席するだけというときになって、ぼくの右隣に座っていた見た目にも冴えない男が(どこかで見た覚えがある気がするが、誰だかわからない)、ふいにマイケル・ジャクソンの物真似(といっても全然似ていない)をして審査官に好印象を与える。バラエティー番組であるから、こういったキャラクターを見逃すはずはないのである。その一次審査にぼくとSは合格する。この段階で当初行動をともにしていた三人目の男は完全に姿を消してしまう。二次審査は女子バレーとバレーの試合。強烈なアタックにぼくはなすすべがなく立ちすくんでいるだけである。こうして審査は終わり、合否は外の掲示板に貼られていると案内されて、ぼくらは会場を後にする。掲示板を見るとぼくもSも落ちていて、あのマイケルは合格している。(それが誰の番号かはわからないが、57という数字が出てきた覚えがある)ぼくらは不満げな表情でリムジンに揺られて帰っていく。そこに(「Come go with me」に似た)ドゥーワップ調の曲が流れてくる。