仕事帰り、SとTと三人で焼肉をたべた。提案者はTで、かれはその店の半額券を持っていて、有効期間があとすこししかないから、このタイミングで使っておきたいとのことであった。おかげで、みんな調子に乗って値段の高いものばかり注文することになった。それでもさすがに半額券の威力は絶大で、普通に焼肉を食べるよりもずっと安くあがった。しかし、お店側にしてみれば、あれでもトータル的には損するどころか得をするはずであって(でなければそのようなキャンペーンを実施する意味がない)、そこにどんなカラクリが潜んでいるのか、気になった。



 というわけで、胃がもたれてきた。ボーヴォワールによると、老いとはある日突然訪れるものであるらしい。



 Aから怒りのメールが来た。一連の流れから推察するに、彼女の言い分はおそらく、少しの時間でいいから会おうとする努力を見せて欲しい、ということであるのだろう。しかし、Aの性格からして、「少しの時間だけ」というのが実際的でないことは、彼女自身わかっているはずである。正直に言って、今回のAの言動はぼくの理解を絶している。



 風が強く一段と寒い夜であったが、雲間からもれる月明かりはとても幻想的でうつくしく、しばらくのあいだ見入ってしまった。