無気力に陥っている。エロDVDを早送りで見る気力さえない。無駄毛の処理すらする気になれない。もっとも無駄毛の処理などしたことないが。
 毛深いひとは性欲が強いという俗説はあてになるのだろうか。いや、俗説があてになったことなど一度もない。だいたい人間というのはでまかせしか言わないものだ。教育がなっていないのだ。
 こうなったら滋養強壮にうなぎの丸呑みでもしてみるか。高麗人参を肛門に突き刺してもいいぜ。そんなのたいしたことではない。ぼくはどちらも経験済みさ。
 やはり人間はでまかせしか言わないようである。



 ベッドのうえに横たわる。すかさず闇がざわめきはじめる。終わりのない眠りのなかで、なおも目覚めているのは、ほかでもないこの夜じしんである。壁越しに通り過ぎていくのは四月の雨音だけではない。嘴のように膨張をはじめる形状の砂。いまごろパリの背骨では火花が花粉を運んでいるのに、どうしてなおも目覚めていられる、こうしてなにひとつ解釈を拒んで? 



 この調子だと明日は寝坊する。いまぼくに必要なのは、本気で壁に投げつけても壊れない目覚まし時計、あるいは誠実で熱心な教育者である。