朝の段階では、財布に二万円以上入っていたと記憶している。で、いまこうして帰宅して、財布の中身を確認すると、まったくの無一文である。小銭すらない。
 どうしてこうなったか、今日一日を振り返ってみると、まずDVDを借り、その後で本を買い、最後にはYとSとAとTと五人で飲みに行った。おそらく飲み屋の会計の際に、小銭も含めて有り金全部をぶちまけたことが、最終的に現在の無一文の状態の直接の原因になったのだろう。酔うと気分が大きくなるというのは、かねてからぼくの悪い癖である。といっても、計算では飲み屋の段階での所持金はおよそ一万円程度であるから、実際にはたいして太っ腹というわけでもないのだが。



 SとYとTは、それぞれが映画好きだと自称している。そのわりに、三人が映画の話をするとまったく会話が噛み合わない。ひとりがある映画の題名を挙げても、のこりの二人がそれを知らないといった有様で、はたで聞いていてすこし異様な感じがした。いくら世の中には、現におそろしい数のフィルムが存在しているとしても、映画の歴史はけっして新しいものではないのであるから、すくなくとも古典という最低限の共通項があってしかるべきである。



 買ったばかりでまだ読んでいないが、今月の現代詩手帖の特集はブックガイドの提案のようなので、ぜひ参考にして読書計画に組み込んでみようと思う。