U駅周辺はビル風がすさまじく、おかげであのあたりを通るときにはみんな妙に怒りっぽくなってしまう。



 どういう話の流れかは忘れたが、Yさんとビートルズ談義になった。すると、そこへT君も途中参加してきた。話を聞けば分かるとおり、Yさんは昔からビートルズのファンのようで、一方T君はバンドマンであるから、一応の知識はあるらしい。ぼくはといえば、正直なところそんなに詳しくはないのである。せいぜい初期の方がいいとおもうくらいで、ほかにこだわりといったようなものは特にない。でも、好きな曲は、と聞かれて、とっさに「Yes It Is」と答えたのは、われながら穿ちすぎたようにもおもった。ともあれぼくは、いつも目立たない、しかも難しいパートを歌わされるジョージ・ハリソンが好きだ。で、そうと分かれば、「Devil In Her Heart」なんか涙ぐましいものがあるよね、というわけで、以前この曲のオリジナルをはじめて聞いたときに思ったのだが、ビートルズはカバー曲に関しては割と素直なアレンジで取りあげる傾向があって、ぼくはそういう点も含めて初期の方が好みなのだ。



 ぼくは何か事が起きたときには、すぐさま言い訳や言い逃れを用意することができる人間だ。そしてそれは主観性を大いに割引したうえで考えてみても、われながらいつも巧妙なものばかりで、その手の言動にありがちな見苦しさといったものはまったくない。これは自慢していいことではないかと思う。