諸事情が重なった結果、花火大会にむかう人の流れにさからって歩くという反市民的行動を経て――、いまはゆっくりと部屋でくつろいでいる。
 花火や祭りといった地元のイベントは、中途半端な知り合い、という言い方はおかしいかもしれないが、ようは普段ほとんど連絡を取ることのない顔見知り、そういった人たちと遭遇する可能性が高く、昔ならそれでテンションがあがることもあったが、いまとなっては正直わずわらしいところがあり、そのせいばかりではないだろうが、浮き足立った街の雰囲気にうまく同調することができなかった。タイトなスケジュールに解放されたときは、すでに「杯盤狼籍のわびしい華やかさ(高見順)」が漂っていたが、こちらのほうがぼくの心境にはよく合致するようである。



 Tからの誘い。バーベキューがしたいそうだ。女の子も用意しているという。初対面の女となぜバーベキューをしなくてはならないのかは謎だが、前にもおなじ状況が何回かあったはずで、たしかそれらもすべてもとはTの発案であったと記憶している。そういうのが好きなのだろう。
 しかし、そのとき紹介された子たちとその後どう話が進んだのか、まったく思い出せないのみならず、顔も、名前すらも覚えていない。というわけで、あまり乗り気がしない。歴史を学ぶことによってわれわれはおのずと未来への展望も手に入れられるのだ。



 スニーカーを新しく買おうと、ネット上でいろいろ物色してみたが、どれがイケているのかさっぱり判断できず、仕方なくMに電話したら、「便所用のスリッパでも充分イケるよ」とのことで、おまえは便所用サンダルでどこまで行くつもりなのか。