今日は二月十四日、バレンタイン。で、結局のところ、貰ったチョコレートは五つだけ。いまの世の中、義理もなにもあったものではない。ちなみに、以前から甘いものは嫌いだと公言していたことが、数字に影響を及ぼしたかどうかは不明である。
 Kにいたっては、こちらが何も言う前から「自分は本命にしかあげないからごめんね」とよく意味の分からない弁明をしていたが、あのね、こっちだってハナから貰う気なんてないさ。



 近いうちに部屋にたまった本とCDを半分近くまで売り払ってしまおうかと考えている。もし都合があえば、Aが手伝ってくれることになっている。が、売ったところで二束三文にしかならないのであれば、やはり手元に置いてあったほうがいいのではないか。そんなことを考え出すと、選別するにもいちいち躊躇してしまう。ヘンリー・ミラー全集はぜひ残しておこう、アンリ・ミショー全集も一応残しておこう、ドストエフスキーは「未成年」以外売り払ってしまおう。ミステリー小説類はひとつのこらず処分しよう。アリストテレスなんか二度と読むものか。ノイズや現代音楽の類ももういらない、いらない。「オノ・ボックス」も今後聞く機会はおそらくないだろう。ソフトロックやサイケ系のCDも一部を残してぜんぶ綺麗にしてしまおう。



 ひたすら物を集めるときと、ひたすら物を捨てるとき。どちらもある種の熱意が必要である。そしてそれが暗い情念にささえられていることには、いずれかわりはないだろう。



 思えば、ここ数週間、金縛りにあっていない。あれだけ定期的におとずれていたはずのに、こうも間隔があいてしまうと、こちらの調子も狂ってしまう。今晩あたり、タイミングよく疲労感も絶頂にあるので、そろそろ怪しいとにらんでいるのだが、どうだろう。